革靴とは、動物の皮を「なめし」という工程を経て、革となった素材を使用し靴に成形されたものです。ビジネスや冠婚葬祭などの様々なシーンで使用されます。革靴の種類やシーンによっての選び方などをご紹介します。
内羽根と外羽根の違い
内羽根
内羽根とは、羽根(レースステイ)が、甲の部分と一体もしくは甲の前部分の革に入り込んでいるパターンの靴。内羽根は外羽根よりもフォーマルであり、一般的に冠婚葬祭や室内執務に適している。「上品さ」「落ち着き」といったエレガントな印象を与える仕様。「バルモラル」と呼ばれることもある。
外羽根
外羽根とは、羽根(レースステイ)の部分が甲の上に乗っているようなパターンの靴。外羽根は羽根の部分が全開になるので、靴の脱ぎ履きを素早く行うことができ、狩猟や屋外労働などに用いられていた。「スポーティさ」「軽快感」といった比較的にカジュアルな印象を与える仕様。「ブラッチャー」と呼ばれることもある。
つま先のデザインの種類
プレーントゥー
甲やつま先に、装飾やステッチが施されていないシンプルなデザイン。シンプルであるがゆえに、革質や靴自体のフォルムの良し悪しが表れやすい。カジュアル、フォーマルの両面で使用することができる。
ストレートチップ
甲からつま先にかけた部分に横一文字の切り返しの線が入ったデザインのもの。切り返しよりも前のつま先部分にしわが付きにくいため、美観を保ちやすい特徴がある。ドレスシューズの基本であり、冠婚葬祭に最も適していると言われている。つま先にキャップを被せているようにも見えることから「キャップトゥ」とも呼ばれたり、横一文字の縫い目部分に穴飾りが施されている場合「セミブローグ」とも呼ばれたりもする。
Uチップ
U字型のモカシン縫いでアッパーを縫い合わせたもの。「Vチップ」や「モカシン」と呼ばれることもある。ビジネスシューズとしてはカジュアルな部類であるが、合わせやすく汎用性の高い靴である。V字に近くなるほどつま先もシャープになるため、ドレッシーな印象になる。
ウィングチップ
つま先にW字型の装飾があるもの。Wの装飾が鳥の翼(wing)のように見えることからそう呼ばれるようになったと言われている。W字型の部分に穴飾りが施されている場合「フルブローグ」とも呼ばれる。つま先部分に小さな穴がたくさん開いた装飾のことは「メダリオン」と呼ばれている。
スワールモカ
甲からつま先にかけてのステッチがUチップのようにつながっておらず、つま先に流れているデザインのもの。カジュアルさが強いため冠婚葬祭には向いていないが、カジュアル、ビジネスの両面で使用できる。
センターシーム
履き口からつま先にかけて縦方向に伸びた縫い目が施された靴。伝統的なデザインの一つで、つま先の空間をゆったりさせるために生まれた機能的な縫い方である。縦方向に伸びた縫い目には足を長く見せるという視覚的効果がある。
様々な革靴のデザイン
モンクストラップ
モンクとは修道僧のこと。修道僧が履いていた靴が起源となっており、ストラップとバックルで甲部分を締めて固定する短靴のこと。ストラップが2つある場合「ダブルモンクストラップ」と呼ばれる。
ローファー
ローファーとは「怠け者」という意味があり、紐や留め具のないスリッポン式で簡易的に履けるデザインのもの。U字型のモカにコインストラップという飾り革が付いていることが特徴。また、アッパーの部分に「タッセル」と呼ばれる房飾りや「ビット」と呼ばれる金属のアクセサリーが付いたものもあり、個性を出すこともできる。
チャッカブーツ
機能的なくるぶし丈のショートブーツの一種のこと。靴紐の穴が2~3組と非常に少ないのが特徴。乗馬球技「ポロ」にルーツがあり、その試合時間の単位である「チャッカ」が由来であると言われている。
サイドゴアブーツ
両サイドにゴムを織り込んだ生地を挟み込んだ深靴のこと。「アルバートブーツ」「チェルシーブーツ」とも呼ばれている。
サドルシューズ
材質や色合いが異なるものを組み合わせてあるデザインの靴。甲の部分が、馬のサドルに似ていることが由来になったと言われている。
キルト
甲の部分にフリンジのようなキルトが装着されているのが特徴。元々は泥除けの用途として使われていたが、現在は靴の表情を変える装飾パーツとしての要素も大きい。キルト付き革靴の着用シーンとしては、カジュアルで履くのが一般的である。