MoonStar

Vol.4 吉田弥稚子さん
(ヤチコダルマ)
POST:21.10.15.Fri

古くから全国各地で親しまれてきた「だるま」。今回お話を伺ったのは、その赤くてまあるい姿に心を奪われ、コレクターからつくり手へと転身した吉田弥稚子さんです。吉田さんのつくるヤチコダルマは、どこへ置いてもすぐに売り切れてしまうほどの人気ぶり。自分のもとに来てくれただけで嬉しいような。そばに置いているだけで心がほっこりするような。そんなだるま達をつくり続ける想いを語ってもらいました。

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◇理想のだるまを追い求めて

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吉田さんのご自宅には数えきれないほどのだるま達が。大きくて強面なものから、ころんとして可愛らしい表情のものまで、壁一面にぎっしり。それらはすべて吉田さんがコレクターとして全国各地から収集したものです。

吉田さんとだるまの出会いはとある小説。作中で佇むだるまの姿に心を奪われたのが、収集のきっかけだそう。そして理想のだるまを追い求め続けた結果、自分でつくることにしたそうです。はじめは販売するつもりはありませんでしたが、その姿を見た方から販売を切望する声が多く寄せられ、製造・販売に至ったのだと言います。

「欲しいと思ってくれる人がいるのであれば、その人たちへ自分のだるま達を届けていきたいと思うようになりました。」

そうしてつくられるようになったヤチコダルマの可愛らしいフォルムや愛おしさを感じる表情ゆえ、ファンの中には若者も多いです。

しかし吉田さんは、奇を衒った作品をつくっているつもりはないのだとか。

「自分はだるまが大好きなので、なにか新しいものや要素を加えなくても、だるまはだるまであるだけで十分魅力的だと思うんです。もともと自由度が高いので、実はヤチコダルマもその型に当てはめているだけなんですよ。」

ヤチコダルマの柔らかくもだるまらしい姿を生み出せるのは、永い歴史を持つだるま達を愛し、尊重している吉田さんだからこそ。

◇誰かの想いを載せた、そばに置きたい存在に

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祝い事のプレゼントとして購入されることも多いというヤチコダルマ。そんな方々へだるまを通して伝えたい想いを伺うと、意外にも吉田さんは「自分の想いはあまり無い」と語ります。

「だるまをつくるうえで、私はアーティストではなく『製造者』でありたいとずっと思っています。つくり手の想いを届けるモノではなく、誰かの想いを載せられるモノになってほしいんです。例えばメッセージカードのように。」

そのことば通りだるまをつくることは吉田さんにとっては「作業」なのだそう。自分用に購入するひとも、誰かに贈るひとも、持ち主によってだるまに込められる想いが違うからこそ、ヤチコダルマは誰にとってもそばに置いておきたいと思える存在になれるのです。

実際に吉田さんは友人に、祝いの想いをめいっぱい込めて贈ったこともあるそうです。

◇好きなモノと、ずっと一緒に

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吉田さんがだるまをつくり続けられる原動力は、「大好きなだるまとずっと一緒にいたい」という純粋な想いからだと言います。求めてくれる人がいるからこそ、だるまをつくり続けられる。だるまをつくり続けられるからこそ、ずっとだるまのそばにいられる。

だるまに限らず、吉田さんは大好きなものと一緒にいたいという気持ちが強いのだとか。その証拠に、プライベートでもモノにはこだわりを持っていると言います。

「服や靴を買うときはビビッとくるモノを買いますね。心の底から好きなモノが集まるのでなかなか簡単には捨てられませんし、手放すときには他の方へ譲ることも考えています。」

願いの込められたヤチコダルマが誰かのそばで大切な存在となっていくように、吉田さんの周りにも思い出を重ねた「好きなモノ」が溢れています。大好きなモノを集め、そばにいるからこそもっと好きになっていく。そうしたモノたちのとなりで過ごす暮らしは、自分らしい幸せで溢れているのではないでしょうか。

 

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